2022/07/08
三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 |
三郷駅前地区第一種市街地再開発事業は、愛知県尾張旭市三郷町の名鉄瀬戸線三郷駅前の再開発計画で、地上22階、高さ83.0m、総戸数136戸の駅直結タワーマンションや商業施設、公共公益施設等から構成される延床面積約32,300㎡の大規模複合型施設の建設や駅前広場整備、自由通路整備等が行われる計画です。
三郷駅周辺地域は、市街地の更新が進んでおらず、駅前広場、道路などの都市基盤の脆弱さや交通機能の不足、地域の商業活力の低下、建物の老朽化など多くの課題を抱えており、課題解決のために再開発が行われることとなりました。
名鉄瀬戸線三郷駅南側の「三郷市場」跡地など約1.1haを開発し、駅前広場、道路、オープンスペースなどの都市基盤と駅前立地を活かした、にぎわいを創出する商業施設、地域交流の核となる公共公益施設、まちなか居住を推進する都市型住宅などを一体的に整備することにより、交通結節機能の強化と拠点性の強化を図るものとされています。
施設構成は、商業、公共公益、住宅が入る地上22階、高さ83.0m(軒高:75.5m)のA棟、商業、駐車場、駐輪場が入る地上7階(※屋上階含む)、高さ約23mのB棟、商業が入る地上3階、高さ約14mのC棟からなります。
また、広さ約2,500㎡の駅前広場と幅員12.5~15m、延長約80mの三郷駅前線の整備、名鉄瀬戸線三郷駅自由通路の整備も行われます。
再開発事業は南街区の1期、北街区の2期に分けて実施する計画となっており、1期事業は組合施行の再開発ビル建設、南口駅前広場整備、市による駅舎改修・自由通路整備のほか、市による道路拡幅などを進め、三郷駅周辺地区まちづくり協議会による2期事業で尾張旭市が北口駅前広場の整備を行うものとされています。
建築主は三郷駅前地区市街地再開発準備組合、事業協力者は三菱地所レジデンス・フージャースコーポレーション共同体、一般業務代行者はRIA・オオバ共同体となっています。
駅前広場を含む市街地再開発事業の都市計画決定が2021年8月になされており、市街地再開発組合設立認可・事業計画認可が2022年度末、権利変換計画認可が2023年度末の予定となっており、既存建築物解体着手は2024年度、竣工は2027年度末となっています。
2022年1月時点では、三郷市場は解体され、市有地の暫定駐輪場として活用されており、再開発街区内には既存建築物が残された状態となっています。
参考資料、引用元
・尾張旭市 三郷駅周辺まちづくり
・三郷駅前まち育てプロジェクト
・三菱地所レジデンス/フージャースコーポレーション ~商業・業務・文化等の都市機能の充実と、交通結節点として交通機能の充実を図る~「三郷駅前地区第一種市街地再開発事業」事業協力に関する協定締結
・尾張旭市 三郷駅前地区市街地再開発事業事業協力者について
・尾張旭市 三郷駅前地区市街地再開発事業一般業務代行者の募集について
過去の記事
→2015年10月28日投稿 【再開発】三郷駅周辺まちづくり
→2018年8月25日投稿 三郷駅周辺まちづくり
→2019年4月29日投稿 三郷駅周辺まちづくり
→2020年3月22日投稿 三郷駅前地区市街地再開発事業(三郷駅周辺まちづくり)
→2020年9月10日投稿 三郷駅前地区市街地再開発事業(三郷駅周辺まちづくり)
→2021年1月25日投稿 三郷駅前地区第一種市街地再開発事業
→2022年3月31日投稿 三郷駅前地区第一種市街地再開発事業

出典:尾張旭市
概要
名称 | 三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 |
計画名 | 三郷駅前地区第一種市街地再開発事業/三郷駅周辺まちづくり |
name | Sango Station Area Type 1 Urban Redevelopment Project |
中文名 | 三乡车站前区一类城市再开发项目 |
所在地 | 愛知県尾張旭市三郷町栄48番 |
用途 | A棟:商業、公共公益、住宅 B棟:商業、駐車場、駐輪場 C棟:商業 |
階数 | A棟:地上22階 B棟:地上7階 ※屋上階含む C棟:地上3階 |
高さ | A棟:83.0m(軒高:75.5m) B棟:約23m C棟:約14m |
構造 | A棟:--- B棟:--- C棟:--- |
基礎工法 | --- |
総戸数 | 136戸 |
敷地面積 | 約7,300㎡ (三郷駅前地区区域全体:1.8ha) A棟:約4,000㎡ B棟:約2,400㎡ C棟:約900㎡ |
建築面積 | 約5,500㎡ A棟:約2,900㎡ B棟:約2,000㎡ C棟:約600㎡ |
延床面積 | 約32,300㎡ A棟:約20,000㎡ B棟:約10,500㎡ C棟:約1,800㎡ |
着工 | 2024年度※既存建築物解体着手 |
竣工 | 2027年度末※第1期 |
建築主 | 三郷駅前地区市街地再開発準備組合(事業協力者:三菱地所レジデンス・フージャースコーポレーション共同体) |
設計 | 一般業務代行者:RIA・オオバ共同体 |
施工 | --- |
最寄駅 | 三郷 |
(2022年4月8日撮影)
位置図
区域図

出典:三菱地所レジデンス/フージャースコーポレーション ニュースリリース
配置図

出典:尾張旭市
断面図

出典:尾張旭市
イメージパース
▼三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 A棟

▼三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 B棟

▼三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 C棟

出典:尾張旭市
南西側、三郷交差点から見た三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 計画地の様子です。
まちづくりコンセプトは、「人・緑・時代との共存」となっており、尾張旭市の顔となる駅前拠点の創出を目標としています。
イベント等の多様な利用が可能な空間の確保や多様な世代が利用可能な地域交流施設、昼も夜も気軽に集える店舗が集約されるほか、緑豊かな広場空間に広場と施設をつなぐ屋根やデッキなどを配置する計画です。
また、誰もが安心して利用できる憩いの空間や多世代が利用できる学び・交流の場、地域の核となるコミュニティ拠点施設も設けられます。

南側から見た三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 計画地の様子です。
現在は既存建築物の商業ビル複数棟や瀬戸信用金庫三郷支店が建っています。
敷地西側に地上22階、高さ83.0m、総戸数136戸の駅直結タワーマンションや商業施設、公共公益施設等が入るA棟が建設されます。

三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 計画地南東側には、三郷市場跡地の駐輪場が広がっています。

南東側から見た三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 計画地の様子です。

南東側歩道橋から見た三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 計画地の様子です。

三郷駅前地区第一種市街地再開発事業の計画地内の様子です。
現在は、三郷市場跡地を尾張旭市が買い取り、暫定的な駐輪場や駐車場となっており、こちら側には駐車台数287台となる大規模な立体駐車場が入るB棟やロータリー等の駅前広場が整備される計画となっています。

北東側から見た三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 計画地の様子です。
北東側一部は再開発区域に含まれておらず、現在のまま残る見込みとなっています。

北西側から見た三郷駅前地区第一種市街地再開発事業計画地の様子です。

名鉄瀬戸線三郷駅前は、自動車利用比率が高く商業地がロードサイドに形成されやすい名古屋圏郊外としては、珍しく首都圏や関西圏と同様に駅前商業地が形成されています。

南西側から見た三郷駅周辺地区 北街区の様子です。
こちらは三郷駅前地区第一種市街地再開発事業区域外となりますが、三郷駅周辺地区まちづくり協議会による区域に含まれており、2期事業で尾張旭市が北口駅前広場の整備を行うものとされています。
現在は三郷駅に隣接して三郷駅の橋上駅舎とタクシーの車寄せがあります。

北西側から見た三郷駅周辺地区 北街区の様子です。

三郷駅周辺地区 北街区は戸建て住宅等も建ち並んでおり、2期事業での事業協力がどれだけ進むか気になるところです。
せっかくなので北側にもお洒落な都市型の駅ビルやマンションが建つと良いですね。

北東側から見た三郷駅周辺地区 北街区の様子です。
北西側には広場ゾーンや店舗・住宅ゾーン、中央部に住宅ゾーンと駅前広場、東側に住宅ゾーンというゾーニングになっていますが、現在は検討中となっています。

南東側から見た三郷駅周辺地区 北街区の様子です。

三郷駅周辺地区 北街区の南側三郷駅側には駐車場が広がっています。

名鉄瀬戸線三郷駅です。
三郷駅の駅構造は、相対式2面2線ホームを持つ地上駅となっており、現在は北改札口と南改札口、東改札口の3つの改札口があります。
再開発事業に伴い、尾張旭市市による駅舎改修・自由通路整備も計画されており、北側は東西に階段、中央付近にエレベーターが整備されます。

三郷駅の改札口です。

三郷駅から見た森林公園通りの様子です。
踏切や交差点が連続しているほか、隣接する瀬戸市などからの自家用車利用が非常に多いため、常に渋滞しています。
再開発を機会に北側の森林公園や南側の愛知医科大学方面、中水野駅や藤が丘駅方面への路線バスが設定されて頻繁に運行されれば、自家用車利用が減って道路交通の円滑化も進むかもしれませんね。

東側から見た名鉄瀬戸線三郷駅の様子です。
現在は、ホーム東側は屋根がない駅となっています。

橋上駅舎の下にはこじんまりとした居酒屋やATMコーナーもあります。

三郷駅東口の様子です。
現在の三郷駅には、橋上駅舎の北改札口とバリアフリーに対応した南改札口、東改札口の3つの改札口があります。

名鉄瀬戸線三郷駅の様子です。
2020年度の一日平均乗降客数は7,854人となっており、尾張旭市内で最も乗降客数が多い駅となっています。名古屋都心ターミナルの栄町駅までは急行で最速22分、平日の朝ラッシュ時間帯で30分でアクセスが可能、最短4分間隔での運行本数の多さが特徴的です。

再開発が行われる三郷駅周辺は商業施設や高層マンションが林立しています。
三郷駅近隣の大規模ショッピングセンターである「イトーヨーカドー尾張旭店」です。

三郷駅西側に建つパチンコ店やコンビニ、飲食店等から構成されている大規模商業施設「KEIZ 尾張旭店」です。

三郷駅周辺には高層マンションが林立していますが、ここ10年ほどは新築分譲マンションが出てきていません。
栄通勤圏では駅前の買い物利便性が高く、森林公園などもある人気の住宅地のため、再開発によって利便性が高まると周辺で分譲マンションの新築も行われるかもしれません。

イトーヨーカドー尾張旭店から見た三郷駅前地区第一種市街地再開発事業 計画地方面の様子です。

駅周辺では開発も進められており、ロードサイド型店舗にはなりますが、ドラッグストアの「Vドラッグ 三郷店」が開業しています。
また、三郷駅北東側には、スーパー銭湯の「天然温泉 ことぶきの湯」が建っています。

三郷駅前地区第一種市街地再開発事業の1階平面図です。
商業、公共公益、住宅が入るA棟の1階には、商業施設がメインで入り、タワーマンションのエントランスも配置されます。
タワマンのエントランスには、コンシェルジュカウンターが設けられることもわかります。
また、B棟1階には駐輪場も入るほか、C棟は専用駐車場もある別棟であることが確認できます。
C棟は「瀬戸信用金庫三郷支店」になるかもしれませんね。

出典:尾張旭市
三郷駅前地区第一種市街地再開発事業の2階平面図です。
街区中央には自由通路とエスカレーター、階段が設けられ、両側に商業施設が配置されます。
また、A棟のタワーマンションには駅直結のサブエントランスが設けられることや1階メインエントランスは二層吹き抜け空間であることも確認できます。

出典:尾張旭市
三郷駅前地区第一種市街地再開発事業の3階以上の平面図です。
A棟3階には公共施設が設けられます。
3~22階にはタワーマンション住戸が入り、ワンフロアあたり7戸※3階は3戸、平均住戸面積は約73㎡ほどとなります。
事業協力者には、三菱地所レジデンス・フージャースコーポレーション共同体が選出されており、「ザ・パークハウス名古屋」を開発している三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス」ブランドや「ミッドライズタワー多治見」を開発しているフージャースコーポレーションの「デュオ」ブランドのマンションとなるかもしれません。
ちなみに愛知県内でペデストリアンデッキで駅に直結している20階建て以上のタワーマンションは刈谷市の「アルバックスタワー刈谷ステーション」のみとなっており、地下での駅直結を含めても名古屋市に建つ「グランドメゾン池下ザ・タワー」くらいしか存在しないため、都心ターミナルの栄に直通する路線かつ駅に直結タワーという希少性あるマンションになります。
更に商業施設規模も3棟合計で延床面積約3,900㎡と、これらの中では最も大きなものとなるため、非常に希少なタワーマンションとなります。

出典:尾張旭市
三郷駅前地区第一種市街地再開発事業の断面図です。
遂に高さが83.0m、軒高が75.5mであることが判明し、高さ60m以上の航空障害灯が必要になる超高層建築物であることがわかりました。
また、A棟の2階と3階の間にはピットと記載されていることから、中間免震層採用の免震構造となる可能性もあります。

出典:尾張旭市
尾張旭市に建つ地上9階、高さ70mの展望塔「スカイワードあさひ」から見た三郷駅方面の様子です。
三郷駅前地区第一種市街地再開発事業のタワーマンションは写真中央付近に建設され、奥には、猿投山や建築家・黒川紀章設計の菱野団地も見えます。私の卒業した高校の瀬戸西高校も奥に見える菱野団地内にありました。

2022年5月14日投稿
2022年7月8日更新