1911年円頓寺商店街の東端付近に名鉄瀬戸線の終点である堀川駅が開業し、1913年には名古屋電気鉄道江川線(後の名古屋市電上江川線)が開業し、瀬戸線、江川線の利用者や工場勤務者を主な顧客とする食品・衣服・日用品の市場があり、古くからの商家が集まる市西北部唯一の盛り場として、特に夜間に賑わいを見せた場所だったようです。
しかし、名古屋市電の路面電車は廃止され、名鉄瀬戸線も名古屋都心部の栄に完成した栄町駅へ乗り入れたため、堀川駅は廃止されてしまい、商店街からは賑わいが消えていました。
近年、2007年には那古野界隈の活性化を担って若手商店主を中心に、クリエイターや建築家、大学教授が集まり「那古野下町衆(那古衆)」が結成され、2009年には空き家が目立っていた円頓寺商店街及び四間道などの那古野地区の町作りと空き家対策の活性化を目指して、建築家の市原正人をリーダーに那古野地区店舗開発協議会(通称ナゴノダナバンク)が発足しました。
それ以後商店街の空き家や古い建物などが再利用され新しいお店などが入る様になり、増し続ける賑わいに商店街復活の兆しが見えます。
◆参考資料、引用元
愛知県 商業流通課 あいちの商店街
名古屋都市センター:平成 23 年度 自主研究報告書 那古野地区のまちづくりの方向性 那古野地区のまちづくりの方向性 ~那古野スタイルの構築~ より

賑わう週末の円頓寺商店街です。
この日はイベントが行われていたとはいえ、数年前よりも格段に賑やかになっています。
商店街最寄り駅は地下鉄鶴舞線、桜通線の丸の内駅、桜通線の国際センター駅に代わりましたが、大規模な駐車場を持たない商店街はいかに駅からのアクセス導線を確保し、人の流れを創るかが勝負かと思います。
ある程度の人の流れや話題のショップができると、大須商店街のように飛躍的に訪れる人が増えるでしょう。

アーケードが整備されていますが、周辺は取り壊された建物が多く、殺風景な印象です。
かなり広い駐車場もあったため、再開発によって中低層型のショッピングモールを建て、商店街にも人を呼び込むといった工夫ができると面白いかもしれませんね。
例として、九州・福岡市の中洲川端駅から、川端通商店街(川端中央商店街)を通り、キャナルシティ博多へ通じるようなイメージです。

新たに建設中の建物もあります。
飲食店や雑貨店など賑わいを生む商業施設が増えると良いですね。

名古屋大都市圏(名古屋市とその周辺郊外都市)の商店街、商業地をマップにまとめました。
以下の番号の箇所に大規模な商店街が形成されています。()内は最寄り駅です。
[商店街一覧]
①大須商店街 (地下鉄名城線上前津駅、大須観音駅)
②円頓寺商店街 (地下鉄鶴舞線、桜通線丸の内駅、地下鉄桜通線国際センター駅)
③広小路中央商店街・御園通商店街 (地下鉄東山線、鶴舞線伏見駅)
④覚王山商店街 (地下鉄東山線覚王山駅)
⑤柳原通商店街 (地下鉄名城線名城公園駅、名鉄瀬戸線東大手駅、清水駅)
⑥藤が丘中央商店街 (地下鉄東山線藤が丘駅)
⑦一宮本町商店街 (JR東海道本線尾張一宮駅、名鉄本線名鉄一宮駅)
⑧せと銀座通り商店街 (名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅)
⑨せと末広町商店街 (名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅)
他にも規模は小さいですが、瑞穂区の雁道商店街やあらたま商店街、西区の弁天通商店街、緑区の有松周辺などもあります。
愛知県は名古屋を中心として戦後復興の際に土地区画整理事業によって駅を中心として建ち並んでいた商店街が一掃されている場所が多く、レトロな商店街や賑わいある駅前商業地が東京や大阪に比べて少なく、貴重な存在となっています。
地図に赤丸で記載した箇所は駅前商業地となっている主な場所です。
名古屋市内は名駅(名古屋駅周辺)、栄、金山、千種、今池、大曾根、八事、星ヶ丘に商業地が形成されており、市外は一宮、江南、小牧、勝川、春日井、高蔵寺、三郷、豊田市駅周辺に商業地が形成されています。
また、地図外になると東岡崎や知立、安城などの主要駅周辺に商業地が形成されています。
それぞれの商店街が様々なイベントや催し物などの活動を通じて復活を試みており、都市部や駅周辺の高層マンションなど高密度居住が増えることで、移動手段も自家用車から公共交通機関や徒歩へと移り変わり、通勤通学時にも気軽に立ち寄れる商店街や駅前商業地は今後のトレンドになっていくかもしれません。

整理番号まちづくり・都市開発0011-01