2021/10/04
東京海上日動ビル建て替え計画 |
東京海上日動ビル建て替え計画は、東京都千代⽥区丸の内⼀丁目で計画されている19階建て、高さ100mの超高層ビルで、既存の25階建て、高さ108.1mの東京海上日動ビルを建て替える計画です。
建て替え後の建物構造は、「木造ハイブリッド構造」が採用され、柱や床などの構造材を含め、これまで他に例のないレベルで国産木材を利用し、世界最大規模の木造ハイブリッド構造による超高層オフィスビルを目指すものとされています。
また、設計については、1998年にプリツカー賞を受賞した世界的な建築家である「Renzo Piano(レンゾ・ピアノ) 氏」が主宰する Renzo Piano Building Workshop SAS、及び三菱地所設計が行い、国産木材の積極的な利用や最高レベルの環境性能の追求など、時代を先取した取り組みを通じて、安心・安全でサステナブルな社会の実現や地域社会の発展に貢献するとのことです。
解体着工は2022年10月、竣工は2028年度となっており、東京海上ホールディングスの本社は2021年12月から「東京トーチ常盤橋タワー」へ順次移転を開始し、2022年6月までに移転先への移転を完了予定となっています。
参考資料、引用元
・東京海上日動 新・本店ビル計画のコンセプトについて
・日刊建設工業新聞 東京海上日動火災/東京海上日動ビル建替(東京都千代田区)/23年の解体着工めざす

概要
・名称 東京海上日動ビル建て替え計画
・計画名 ---
・name Tokio Marine & Nichido Building Reconstruction Plan
・中文名 东京海上日动大厦重建计划
・所在地 東京都千代⽥区丸の内⼀丁目2番1
・用途 事務所(本店ビル)、駐車場等
・階数 地上19階、地下3階
・高さ 100m
・構造 木造ハイブリッド構造
・基礎工法 ---
・総戸数 戸
・客室数 室
・敷地面積 約10,147㎡
・建築面積 ---
・延床面積 約125,000㎡
・着工 解体着手:2022年10月
・竣工 2028年度
・建築主 東京海上ホールディングス、東京海上日動火災保険
・設計 Renzo Piano Building Workshop SAS、三菱地所設計
・施工 ---
・最寄駅 東京、大手町、二重橋前
(2021年9月16日等撮影)
概要※既存建築物
・名称 東京海上日動ビル
・計画名 ---
・name Tokio Marine & Nichido Building
・中文名 东京海上日动大厦
・所在地 東京都千代⽥区丸の内⼀丁目2番1
・用途 事務所
・階数 本館:地上25階、地下4階
新館:地上16階、地下4階
・高さ 本館:108.1m (軒高:99.7m)
新館:---
・構造 地上:鉄骨造、地下1階および2階:鉄骨鉄筋コンクリート造、そのほか鉄筋コンクリート造
・基礎工法 ---
・敷地面積 10,139.37㎡
・建築面積 2,207.75㎡
・延床面積 本館:63,120.19㎡
新館:52,620㎡
・着工 1970年12月
・竣工 本館:1974年2月
新館:1986年12月
・建築主 東京海上火災
・設計 前川国男建築設計事務所、横山建築構造設計事務所、東京建築研究所
・施工 竹中工務店、大林組、鹿島建設、清水建設
・最寄駅 東京、大手町、二重橋前
位置図

出典:東京海上日動
西側、皇居側から見た既存の東京海上日動ビルの様子です。
現行、既存の東京海上日動ビルは、モダニズム建築の旗手として、第二次世界大戦後の日本建築界をリードした「前川國男」の設計で、赤茶色のタイルが張られた格子状の外壁が特徴的となってまいます。
国内の優良な建築物を表彰する「BCS賞」を1976年に受賞している、皇居周辺・丸の内エリアで初の超高層ビルです。

南東側から見た既存の東京海上日動ビルの様子です。
建て替え後は世界最大規模の木造ハイブリッド構造による超高層オフィスビルとなるほか、木材の利用により建築時の二酸化炭素排出量を削減することに加え、高効率の設備や地域冷暖房を導入することによって、省エネルギーの推進と、ビル使用に伴う二酸化炭素排出量の抑制に取り組むものとされています。
また、電力については、100%再生可能エネルギーの導入を目指し、屋上などを大規模に緑化し、生物多様性の保全とヒートアイランド現象の緩和を図る計画です。
更に1階フロアなどに地域の憩いの場となるパブリックスペースを設け、都市空間の環境改善を図るとのことです。

建て替え後も高さは現行のビルと変わらないものとなります。
現行の東京海上日動ビル建設前に、皇居のすぐ近くに超高層ビルを建てることから美観論争・高さ制限論争を起きた歴史があります。
丸の内エリアでは、戦前の美観地区規制および、100尺規制(約31m)の高さ制限ぎりぎりのビルが整然と立ち並ぶ景観が造られていました。
そのような中、高度経済成長期にビルの建て替え計画が浮上し、東京海上火災保険が1966年10月5日に東京都へ提出した前川國男の当初案の建築確認申請書では30階建て、高さ127.768mとなる高層ビルのツインタワーが建つことになっていました。
しかし、東京都がこの建築申請を1967年4月15日付で却下したことをきっかけに、皇居の周囲の美観地区指定を巡る論争や、皇居の周りに皇居を見下ろすようなビルを建てることの是非をめぐり対立が起き、最終的にはツインタワーから1つだけのビルにした上、当初の30階建てを25階建て、高さ99.7mに変更する計画変更申請を1970年9月11日付で提出、9月24日建設大臣が認定、現在の東京海上日動ビルの建設に至ります。

現在では、丸の内エリアは日本最大級の超高層ビル群となり、東京海上日動ビルは目立たない存在となっていますが、竣工時は高さ100尺のビル群の中に頭ひとつ抜きん出た超高層ビルでした。

個人的には、丸の内ビルや新丸の内ビルと同様の高さになって欲しかったものですが、皇居の目の前ということもあり、高さは現行のものと変わらないまま、木造ハイブリッド構造という最新技術を駆使した超高層ビルへと生まれ変わることになりました。

●noiz(ノイズ)によるリノベーション提案
日本、台湾、ワルシャワを拠点とする建築設計事務所であるnoiz(ノイズ)により、超高層ビルの今後を世に問うために独自での提案もなされています。
既存の超高層ビルに外装材の変更や増築を行い、使い続けるという「建て替え」とは異なる手法の開発計画となっています。
noiz Tokio Marine Nichido Headquarters Building Renovation

出典:noiz
整理番号 B-1232-01